愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『アウェー脳を磨け!』茂木健一郎

 

アウェー脳を磨け!?一歩踏み出せば脳は目覚める?

アウェー脳を磨け!?一歩踏み出せば脳は目覚める?

 

 

脳科学者である茂木健一郎さんの著作。

アウェーに挑戦することにより、手応えのある人生わ掴める、と著者は述べています。

 

日本では、前例がないことや常識を外れるような事をやるのは難しいし、誰もやりたがしません。

今、自分の置かれている環境で、良い生き方をすることを部分最適と言います。

逆に全体最適という言葉があり、偉人たちのほとんどは、ひたすらこれを目指します。

みんながみんなこれを目指して生きられる訳ではありません。

大事なのは、最適解が一つではないという視点を持つことです。

アウェーの場所に行ったら、瞬時にそこでの最適解を探せるよう、頭を切り替えましょう。

 

辛いと感じているときは、さらなる高みにチャレンジしているので、脳は確実に成長しています。さらに、失敗して傷ついた方が成長度合いが大きくなります。

 

アウェーで自分を他者の目で見つめると良いです。その視点から自分を見ることを、メタ認知と言います。

 

どこでもアウェーを探して感じて楽しむと、脳が活性化されます。

 

予想可能な事と不可能な事とが入り混じっているのを、偶有性と言います。

これを楽しめたら、いつまでも若くいられます。

 

自分の意見を大切にしましょう。

相手の顔色を気にせず押し通す、すると長いスパンでは、確実に得をします。

 

脳は死ぬまで成長し続けることが出来ます。

 

現状を打破するベストの方法は、土俵から出てオルターナティブが真の答えです。

アンチではありません。

それを目指すには、自ら立つ必要があるので、かなりの勇気が必要です。

 

判断の正誤は問題ではありません。

素早く決断をすることが大事で、その後に責任を持てば良いです。

確信を持って判断すると、確信度が高いです。

内なる自分の心に問いかけ、耳を傾けましょう。

 

ハズレを引く事を恐れず、何でもやってみましょう。すべては糧になります。

 

こんな事をして何の意味があるのか?

これは考えない方が良いです。大抵はやらないための言い訳探しになるからです。

ニーチェも、意味など問わず、ひたすら踊れと言っています。

 

毎日10分、普段の自分がやらないことをしましょう。

 

ミスは恐れない。たくさん失敗するのは良いことだと考えましょう。

 

日本では肩書きや所属でその人をみがちです。

そんなものに満足せず、知的探究に取り組みましょう。

 

人の脳には、相手の本気度を察知する能力があります。理想に向けて進むところに情熱が生まれ、それが本気になります。

 

海外では、大人向けの伝記が充実しています。

これをロールモデルとします。

 

日本では、空気を読むというルールが刷り込まれてしまいます。

そんなものは、必要ありません。

 

多言語でブログやツイッターを書くと良いです。著者はそれで、自分のいる東京が世界の中心だ、という事に気づきました。

 

頭を良くするには、常に脳に新しい刺激を与えると良いようですね。

そして、限界やつまらないルールを勝手に決めない方が良い。

今とこれからの日本は、かなり厳しいと予想されています。

本書は、これから活躍するはずの日本人に、是非読んでいただきたいです。

『素敵な日本人』東野圭吾

 

素敵な日本人 東野圭吾短編集

素敵な日本人 東野圭吾短編集

 

 

東野圭吾さんのショートストーリー集です。

以前から色々な著作を拝読していて、大好きな作家さんです。

中でも『白夜行』が秀逸で、本当に楽しく読んだ記憶があります。

 

一話目は、町内の人物同士の殺人未遂事件。

ところが、警察を始め登場人物がみんないい加減でゆるい。

事件では脇役のはずの目撃者が、一番真面目だというお話です。

著者の作品は殺人事件などのシリアスな物が多くてどれも面白いのですが、この話のようにユーモアのある作品もあります。

こちらも、それはそれで楽しめます。

 

猫の珍しい品種を繁殖させて、儲けようとするお話。

込み入った謎があるようなスリリングなお話では無いのですが、展開や結末が面白いです。

遺伝や猫に興味がある人は、より楽しめる内容です。

 

クリスマスに厄介な男女のもつれを清算させるべく、完全犯罪で殺人を目論む話。

被害者は常に可愛そうなのだが、とりわけこの話の被害者は哀れを誘う。

 

父と子の確執を描いた話。

役者を目指してアメリカへ渡った息子と、代々の仕事を継がせたい父親。

親は子どもの幸せを願うが、それだけではない感情もあり、なかなか純粋に役者の夢を追う息子を応援しにくい。

 

それぞれの話はバラバラだが、全て読み終えると、何となく清涼感を感じた。

ミステリーや東野圭吾さんを好きな人は、やはり読んでおいた方が良い作品であろう。

『若くなるには、時間がかかる』火野正平

 

火野正平 若くなるには、時間がかかる

火野正平 若くなるには、時間がかかる

 

 

芸能界で一番のモテ男、と言われる火野正平さんの著書です。

そんなにモテる男性の魅力はどこにあるのか?

どのような思考回路で、どんな生活をしているのか?

そんな興味から、本書を手に取りました。

 

芸能界には子役から入りました。

江戸川乱歩さん原作の、少年探偵団に出演していたそうです。

子役は、小さい頃から大人と一緒に、ちゃんとした仕事をします。

つまり、一般的な子どもが出来ない経験をすると考えられます。

 

結婚して子どもを設けますが、あまり家にはいないようです。

本書を執筆している66歳の時点では、長年連れ添った別の 女性をかあちゃんと呼んでいます。

複数の女性と上手くやる方法を言及する際に、Aと言う女性が出て来ます。そしてB。さらにCでは終わらないからね、と言われた時点で、何となくその凄さが分かる気がして来ます。

まあ、それぞれ皆さんを満足させる必要がある、というわけです。

 

自ら女性に別れを告げる事はありません。

大体が向こうで次の道を選びます。

それを著者は、卒業して行くと表現します。

 

お風呂は数分しか入らず、体を洗った事は無いそうです。

 

お酒を沢山飲みます。以前は焼酎だったけど、日本酒の売り上げが落ちたと知ってから、専ら日本酒です。

 

タバコを吸っています。ハイライトです。

 

コーヒーが好きです。

 

麻雀を好みます。

 

しっかり読みましたが、どうしてモテ男になるのかは、謎のままです。

よくわからないのが魅力なのかも知れませんね。

 

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗

 

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)
 

 

 

『ひとは見た目が9割』という言葉があるように、感覚の9割を視覚に頼っています。

しかし、元々は聴覚、嗅覚、触覚、味覚を合わせた五感で生活していたはずです。

視覚に頼り過ぎていないか、再考する必要があるかも知れません。

 

視力が人より低い方を、視覚障がい者とか目の不自由な人、というふうに呼ぶ場合があります。

見えないのと見えるのと比べると、見えない方が劣っているように考えてしまいがちです。

しかし、それを個性として捉えると、また違う見方が出来ます。

 

〇〇坂という地名の場所を歩いていると、目の見えない人は、なだらかな傾斜を足で感じるそうです。

登り坂と下り坂を感じて、そうかこれが〇〇坂か、と。

一方目の見える人は、〇〇坂という地名なのに、なだらかなためにそこが坂だという事に気がつかなかったりします。

 

太陽の塔という、美術建造物があります。

大阪万博の時に岡本太郎が作成した物です。

真ん中に顔がついていて、手のような物が左右に伸びているように見えます。

これは、目の見える人が正面から見た視点の話ですが、実はこの塔には後ろにも二つの顔があります。

そうすると、果たして一つの顔がある方が正面なのかも、少し怪しくなって来ます。

目の見えない人は、オブジェなどを触ったりしてこの塔を認識するため、顔が一つしかないという見落としはしません。

 

目の見える人からしたら、見えないのは劣っていると感じてしまうかも知れません。

しかし、見えない方がしっかり感じ取れる事が多い場合があります。

また、視点が多いというか視野が広いというか俯瞰的に捉えるため、見えている人よりも見える、という見方も出来ます。

 

目を使わない、という修行が存在します。

それは他の感覚を研ぎ澄ませるためです。

しかしそれだけでは無く、見ること自体も研ぎ澄ませる事が出来るはずです。

 

目の見える人は、是非読んでおいた方が良いです。

目の見えない人は、そんな事知っているよ、とおっしゃるかも知れませんけど。

『オレは絶対性格悪くない!』有吉弘行

 

オレは絶対性格悪くない!

オレは絶対性格悪くない!

 

 

2008年の著書です。

小さい頃のエピソードから、直近のお話まで、さらにはダチョウ倶楽部上島竜兵との対談まで収録されている、盛りだくさんの内容です。

 

小さい頃は、女の子と間違えられる程の可愛らしさを備えていた著者。

成長するのに従い、別の方向で人気を得ようと目論みます。

森の中を裸で走り回ったり、便を掴むという暴挙により、友人内でウンコ担当という地位を得ます。

この頃の半裸で顔や体に泥?もしくは他の何かを塗りたくった、衝撃の写真つきです。

 

芸人になってからも著者は奔放です。

大阪でオール巨人師匠に弟子入りをしましたが、常識がないため務まらず、七カ月で広島へ戻ります。

今度は東京に出て太田プロのライブに出始めます。

奇行を前面に押し出していくスタイルでは人気が出なかったため、かわいい路線に転向します。

それで人気を得て、ちょろいな、と思います。

 

あらゆる面接などに受かりつつ、電波少年というテレビ番組のオーディションにまで合格してしまい、ヒッチハイクの旅に出る羽目になります。そして人気が出ますが、その後仕事が無くなります。

その間に漫画を描くけど才能は花開かず、上島竜兵などに奢ってもらったりします。

 

自身の良いところを言うコーナーでは、30を過ぎても毎日自慰を欠かさない勘弁さや、不美人に不美人と言える正直さなどが紹介されています。

写真に対して一言を言うコーナーも秀逸です。

 

最後に上島竜兵との対談があり、思い切り何度も笑わされます。

 

果たして著者は、性格が悪くなくて正直なだけなのか?

それとも本当は性格が悪いのか?

本書を読むと明らかになるかも知れません。

『ウケる技術』水野敬也 小林昌平

 

ウケる技術 (新潮文庫)

ウケる技術 (新潮文庫)

 

 

本書は、コミニケーションの教科書として書かれました。

「笑い」生強力なツールとして積極的にコミニケーションをとっていく、という方法です。

今まで笑でウケる人は、なぜ面白いのかと言うことは、体系的にまとめられてはいませんでした。

それを有限のパターンの組み合わせに分解し、普段の会話で使えるようなスキルにしようと言う本です。

 

本書を使うポイントが書かれています。

ウケるための技術でできていないことをコミニケーションの現場で意識的に繰り返し使いましょう。

本書のチェックリストを確認し、更新しましょう。

新たに習得したい技術をチェックしましょう。

チェック済みのリストを確認しましょう。

現場で意識的に使う、に戻ります。

 

1つ目の技術はツッコミです。

相手がこちらは笑わせようとしている場合、乗っていきましょう。

また、相手が天然の場合は、本人が気づいていない面白さを拾っていきましょう。

 

次は外人化です。

声が張っていること、リアクションが大げさで明快であること、表情が過剰に豊かであること、この3つは受けるための基礎になります。

 

このように、受けるための様々な技術が本書には書かれています。

さらにそれをカテゴライズして、具体的な会話例を出して解説しています。

 

ウケるために大切なのは、相手対してのサービス精神です。

場の空気を読み、相手をよく観察し、相手の言ったことをしっかり拾い、挫けず諦めず、ウケるための努力をする、という事が大切です。

正直に言うと、本書は真面目な本ではありません。

しかし、初めに本書の内容を精読し、実践したら間違いなくウケる人になれるはずです。

 

人付き合いに悩みがある人は、読んでみると面白いかも知れません。

 

『東大から刑務所へ』堀江貴文 井川意高 幻冬舎新書

 

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)

 

 

東大に入って、ビジネスの世界で活躍して、成功を収めているように見えた著者。

ライブドア堀江貴文と、元大王製紙の井川意高の対談形式の著書。

 

はじめに

囚人番号2815番。

9が最高で0が最低のバカラ賭博で考えると、弱い数字で最悪の取り合わせだ。

番号を付与されてそう感じた井川意高は、カジノで熔かした108億8000万円を子会社から引っ張った「特別背任罪」で逮捕されました。

 

この男、全く懲りていない!

元々は堀江貴文に興味を持ち手に取ったのだが、こちらの著者もなかなかな人物のようです。

出だしから一気に惹きつけられました。

 

二人はそれぞれ別の罪により、刑事裁判で有罪判決を受け、刑務所に収監されます。

それぞれが口を揃えて言うのは、日本では誰がいつ逮捕されて刑務所に入れられてもおかしくない、という事です。

つまり、自分は罪を犯していないのに、特捜検察に目をつけられて逮捕される、そして刑事罰を受ける可能性がある、という事です。

本書でも、弁護士さんが特捜について同様の言及をする場面があり、信憑性が増しています。

 

刑務所内では多くのことが制限されます。

本の差し入れが3冊までだったり、運動時間が限られていたり、などです。

しかし堀江貴文はメルマガを配信する仕事は続けます。

本人は、これが刑務官による不当な扱いを逃れる抑止力になった、と述懐しています。

刑務所に収監されたら、みんな何らかの方法で、刑務官の行いを始め刑務所内の様子を発信していくと良さそうです。

 

井川意高は、刑務官のことをオヤジと呼んだり、収監されることをアカおちと言ったり、すっかり受刑者生活に馴染んでいるように見えます。それもまた、中でより良く生活するための知恵なのかも知れません。

 

刑務所に収監されたことで、それぞれの人生が変わったようにも見えます。

それも、何かを感じたり学んだりして、以前よりも良くなったようにさえ見えます。

逆に、何も変わっていないようにも見えます。

それも、もともと持っていた物が、収監されても変えられてしまわずにいるように。

 

この二人を見ると、収監されるのは嫌ですけど、そんな事もあるかも知れないし、そうなっても何とかなるよな、と思えて来ます。

 

特捜に呼び出される前に、ぜひ読んでおきたお一冊です。