愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『友達幻想』 菅野仁

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友達とどの様に付き合って行くのが良いか。

恐らく、全ての人が通る悩みでは無いでしょうか。

もちろん程度の差はありますが。

本書は、まさにその悩みの真っ只中にいる中高生に向けて書かれています。

 

♪一年生になったら、友達100人出来るかな

友達を100人作らなければいけないような感覚を覚える、というような記載があります。

この感覚は、分かる人は少数かも知れませんが、とても良く分かります。

友達が多いのは良い事だと決めつけている、とも取れます。

 

友達だけでなく、家族や先生との関係についても言及されています。

自分と他者、という概念が良いようです。

他人ほど遠くは無いけど、自分自身とは明確に違う人だと認識する必要があります。

 

私自身は、友達とそうでは無い人の区別はつける必要が無い、と考えています。

そのため、著者が友達に拘らず適度な距離で他者と付き合おう、というように書いていたのが、とてもしっくり来ました。

 

イジメについても言及されてます。

イジメをしてはいけない理由は、他者からイジメられる可能性があるからだそうです。

つまり、その時の力関係によりイジメる側とイジメられる側は、容易に入れ替わります。

そのため、イジメ自体が存在しなければ危険は少ないという事です。

実はこの理由は、人を殺してはいけない理由と全く一緒です。

他者を認める事にも通じるようで、とても大事な気がします。

 

ここに書いてある事は、おそらくかなりの数の学生にとって、十分に同意出来る内容な筈です。

そのため、出来るだけ多くの学生さんが読むと良さそうです。

ちなみに、会社内やママ友などの人間関係で悩んでいる大人にも、十二分に役立つ本になっているように思います。