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『私が見た21の死刑判決』青沼陽一郎

 

私が見た21の死刑判決 (文春新書)

私が見た21の死刑判決 (文春新書)

 

 

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いくつもの裁判を傍聴した著者が、その中でも死刑判決を集めてまとめた記録です。

死刑という重い判決はそれほど多くないため、複数の死刑判決を見て来た著者は、貴重だと言えるでしょう。

つい先日、オウム真理教麻原彰晃元死刑囚の死刑が執行されました。

本書では事件の関係者が多く出てきます。

それくらい重大な事件だったと言えるのでしょう。

 

我が国の刑法では、死刑が最高の刑罰として存在しています。その次が無期懲役で、海外のような終身刑はありません。

無期懲役は、実質的に数十年の拘禁生活の後、出獄します。シャバに出る、というのが分かりやすいかも知れません。

模範囚などは比較的早く出られたりします。

一方死刑はそうは行きません。

死刑に処されること自体が刑罰のため、いくら模範囚だからと言って、減免されることがありません。拘置所内で病死でもしなければ、いずれ間違いなく死刑が執行されます。

死刑判決と無期懲役判決のあいだに大きな違いがあるのは、この点です。

そのため、判決の瞬間は被告人が物凄く緊張し、考えている事や人間性が如実に出ます。

 

麻原彰晃こと松本智津夫被告の場合は、判決を言い渡そうとしたら、駄々っ子のように被告人椅子にしがみつき証言台に立たないように抵抗します。それまでの数年に渡る公判で、そんな事は一回もしなかったのにも関わらず。

著者は、精神障害を装っている被告が、死刑を理解している事を露呈してしまった瞬間に見えたと述懐しています。

そして、これほど無様な姿の死刑判決を受けた人は、他に居なかったとも。

井上嘉浩被告は、死刑を免れる無期懲役の判決を受けた瞬間に、歓喜の悲鳴を漏らしてへたり込んでしまいます。

それくらい、自分の生死は重大なことのようです。それなら何故、いとも簡単に他人を殺すことが出来たのか。

 

当たり前かも知れませんが、本書に出て来る死刑判決を受ける被告人は、皆重大な犯罪を犯しています。

大体の基準で、人を複数人殺めていると、死刑が選択され易いというものがあります。

オウムの一連の事件もそうですが、無差別大量殺人の犯人も出てきます。

被害者やその家族にも言及されますが、本当にやり切れない気持ちでいっぱいになります。

 

オウム真理教のニュースを見て興味を持った人には、是非読んでみる事をオススメします。

自身が裁判員になる可能性がある事を考えると、大人はみんな読んでおいた方が良い作品とも言えそうです。