愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『ツレがうつになりまして』細川貂々

 

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

 

 

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真面目で仕事も日常生活もキチンとしている、著者のツレ。

そのツレがある日真顔で「死にたい」と言います。これはただ事ではないと病院に連れて行くと、鬱病という診断を受けます。

 

ツレは、もともと明るくて、とても鬱とは遠い所にいるように見えます。

それが、仕事量が増えたり、難しいものになったりしてストレスが増えます。

そして、眠れなくなったり体調が悪くなったりします。

 

自分よりもゴミの方が価値があるんじゃないかと思いつめたり、色々な事が出来なくなってしまったのを、著者は私も出来ないよ、と励ましたりと、重いテーマながらも随所随所に笑える箇所があります。

 

ツレは仕事を退職して、ある程度肩の荷を下ろせます。

それでも、鬱の症状に悩まされます。

さっきまで普通だったのに、ある瞬間に急に泣き出したり。

お店でお会計をしている時に、急に支払いが分からなくなってしまったり。

キチンとした性格のはずが、クスリもしっかり飲めなかったり。

色々な事が変わります。

 

それでも、少し良くなる時がついに来ます。

しかし、またすぐに悪化します。

鬱病は症状の揺り戻しがあるそうです。

こんなツレを著者は懸命に支えます。

優しくしきれない時もあった様ですが。

 

「頑張って!」

と言わない方が良いと言うのは、割と知られています。

しかし、それだけでは無いそうです。

焦らせるような声かけてが、ツレには辛かったようです。頑張って、というような言葉も、ニュアンスによっては大丈夫だったり。

 

周りに鬱病の方がいる人は、是非読んでみましょう。きっと為になる何かを掴めるはずです。