愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『お前なんかもう死んでいる』有吉弘行

 

 

お笑いコンビ猿岩石として、進め電波少年という番組の企画でヒッチハイクの旅をしてブレイクした著者。

現在は司会などでれっきとした地位を築いていますが、実はかなりの苦労を経験しています。

 

ブレイク中のエピソードから、人柄を表していて、面白いです。

売れない芸人の状態でヒッチハイクの旅に出かけた著者が、帰ってくると全く状況が変わっています。

アイドルのような爆発的な人気で、曲を出したりコンサートを開いたりします。

色々な番組に出演してギャラは激増、手提げの紙袋に入れた札束が、月給として手渡されます。

こんな状況では、多くの人が天狗になってしまいそうです。

 

しかし、著者は一味違います。

(こんなに人気があるのは、絶対に違うよな。人気が落ちて仕事がなくなってもいいようにお金を貯めておこう) 

 

「収入をさらに増やすには、もっと良い家に引っ越した方が良い」

という、芸人のジンクスを真に受けません。

家賃のような固定費の出費を増やしてはいけない、と考えます。この辺りが、至極真っ当です。

数千万円の貯金が出来たけど無駄に使わずにいたため、ブレイクが終わってから、仕事の無いつまり給料の無いかなりの年月を、何とか乗り切れたようです。

 

お金を稼いでいる他の芸人さんが、自分にお金をくれない事にハラが立つ。

メシを奢って貰うなら、現金が欲しい。

5年後や10年後の自分を考えると震えが止まらない。

自分なんてダメなんだ、と思っているくらいが丁度いい。

ホームレスになることや自殺することを考える。

 

2018年現在の地位を見ると、2010年に書かれた当時とは大分状況が変わっています。

今この本を読んで、著者のベースにこのような考え方があると知ったら、楽しめる人は多いかも知れません。