愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『死ぬときに後悔すること25』大津秀一

 

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

 

 

 

ほとんどの人は、死ぬ間際に何らかの後悔を抱えていて、それを果たせぬままに、亡くなって行きます。

いまわの際に「もう思い残すことはない」と胸を張って言える人は、多くの人より早くから、いつ死んでも後悔しないように、問題を後に残さないような生き方をしています。

 

「タバコを止めておけば良かった」

肺癌で亡くなる人や、肺気腫で呼吸が苦しくて仕方ない人の言葉。

「人生はあっという間であった」

等しく皆が言い残した言葉。

夢を叶えられなかったことよりも、中途半端に諦めたことにたいして後悔することが多い。

些細な事柄にあれこれ心を惑わせ過ぎた。

死ぬかとからすれば、泣いたり怒ったりするほどのことはない。

皆同じように死んでいくことを知っていれば、恨んだり羨んだり妬んだりせず、穏やかに生きられた。

故郷に帰っておけば良かった。

仕事ばかりでなく、病気になっても出来るような趣味があると良い。

旅行には行っておく。

会いたい人には会っておく。

良い恋愛をしておく。

生と死について、自分なりの哲学を持っておく。

 

著者は、終末期医療の専門家です。

ホスピス医として多くの患者さんの治療に携わって来ました。

そして、それはつまり多くの患者さんを見送って来た事に他なりません。

そんな著者が聞いた、患者さんの声を綴った本書は、心というか魂の叫びのようにすら感じられます。

 

考え方は人それぞれなので、25の中にはしっくり来る物もそうでない物もあるでしょう。

しかし、本書は全ての人にとって、かなりのプラスになるはずです。

それは、人はすべからく必ず死ぬという事を認識出来るからです。

また、多くの人がそれを自分が死にそうになるまで忘れていて、それまでの生に後悔を残してしまうという事実を知れるからです。

 

死ぬ瞬間に後悔を感じてしまうのは、あまりに悲しいです。

最早、どうする事も出来ないからです。

本書は、死ぬべき運命の全ての人に、元気なうちに読んでいただきたい作品です。